まあ流行りというわけではないですけど、だんだん浸透して来ている言葉なのだと思います。卓球に関して言えば坂本選手がサーブイップスであったという話は有名ですね。今日は少しイップスについて考えていこうと思います。

  そもそもイップスの定義とはなにか。Wikipediaでは

イップス (yips) は、精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことである。

とのことです。もともとはゴルフ競技から生まれた言語であり、そこから徐々に様々な分野に広がっていったものだと推察されます。

  メディアに取り上げられているものの多くは精神面からくるイップスをよく取り上げています。
  漫画でも例えば「MAJOR」や「ダイヤのA」では共に主人公がデッドボールを恐れるあまりインコースに投げられなくなるイップス、「明日のジョー」では矢吹丈が力石にテンプルを放った結果死亡したことに起因して一時的にテンプルを打てなくなってしまったイップス、他にも探せばいくらでもあるでしょう。
   上記の共通点として、MAJORの茂野は父が頭部へのデッドボールが原因で死亡していることが背景にあり、ダイヤのAの沢村は決勝戦での頭部へのデッドボール、それも起因して試合の敗北が背景にあり、言わずもがな矢吹は自分の一撃で対戦相手が死亡している背景があります。つまり、メディアでよく耳にするイップスの多くはなんらかの強烈なイベントを契機に発症するイップスであることか分かります。

   
   上記のような自他共に認めるようなインパクトの強いエピソードでなくても、本人にとって強い印象の残るエピソードであればイップスを発症する可能性は十分に考えられ、そこが今までイップスが認知されづらかった(少なくともイップスの歴史を考えると浸透速度はそこまで早くないのではないか)、またイップス発症者も増えているのではないかという印象を受けます。練習ではうまくできるのに試合ではできないというのも試合に負けるというエピソードが背景にあるイップスととることもできなくはないでしょう。

   しかし、上記の精神面からくるイップスを定義するにあたって重要なことがあります。イップスのみならず医学における精神疾患全てに当てはまるのですが、必ず器質的疾患を除外することです。
   例えば鬱症状が出たとして、うつ病と一概に診断するのではなく、甲状腺機能や副腎機能が低下していないかどうかなどまず他の病気を考えて(器質的なものを除外して)、うつ病と診断するといったものです。
   イップスにおいても、一概にイップスだからできなくなったのではなく、まず技術的に未熟だからできないのではないか、そこを考えることも必要かと思います。もちろん、トッププロの選手においてはほぼ間違いなく技術的に問題あるわけはないでしょうが、特に中高生においてはイップスだという選手の幾許かはただの技術的な問題なのではないかと推察しています。

しかし、近年ではイップスの原因としてジストニアというものが挙がっています。次回はジストニアを中心にして記事にしたいと思います。