人間は、触覚、視覚などの感覚を認知するとそれが電気信号として脳に送られ、脳が適切な運動を行えるように体の筋肉に電気信号を送り、電気信号を受け取った筋肉が収縮することによって体が動かされます。その間の時間は最速で0.2秒といわれています。
 人間は、その0.2秒より速く動くことは、反射と呼ばれるものを例外として、できません。反射とは、感覚の電気信号が脳を経由することなく、感覚神経から直接運動神経に向かい、筋収縮を行う働きです。例えば、熱いものに触った時や痛いと認識した時に咄嗟に手を引っ込める動作などは反射によるものです。一般的には、人間にとって侵襲性の高いもの、つまり人の生命に危機が及びうる場合を回避するために反射という働きは存在します。逆に言えば、卓球などのスポーツでは基本的に反射による運動は行っていないはずです。トップ選手が非常に速く動けるのは反射によるものではなく、卓越した観察力、経験からくる予測といった側面や、練習量に比例した無駄のない極限まで洗練された動きによるものと考える方が自然です。


 いきなりわけのわからない話をしましたが、今日のテーマはこの「時間」にスポットをあてた戦術論について考察していきたいと思います。
 先述したとおり、基本的な人の動き初めの限界の速さは0.2秒です。ここより先の世界は、予測という要素が入ってきます。また動き初めが0.2秒なだけであり、ボールを打てる最短の時間が0.2秒とは限りません。この最短時間を極限まで速くするためには、練習が必要となってきます。

 0.2秒で相手コートから自分コートに返ってくる球のスピードっていったいどれくらいなのでしょうか。wikiによると卓球台の長さは2.74m。とりあえずこの値で計算してみます。

 2.74(m) ÷ 0.2(s) = 13.7(m/s) = 49.32 (km/s)

 つまり時速約50km以上の球は相手コートから自分コートまで0.2秒以内で返ってくるということになります。
 この数字を見て皆さんどう思いましたか?私はこの数字に初めて気づいたとき思った以上に遅いと感じました。マスコミや卓球本などでは卓球の最速は100km/hとか平気で言ってるんですよ?そんなスピードなら人間追いつけるわけがないですよ。実際スマッシュなんかは追いつけるわけがないんですけれども。
 また、この数字はあくまで球が2.74m進む速さを考えているだけで、バウンドとか回転とかは全く考慮していないため実際の数字とは違う可能性も十分にあります。しかし、100km/hやそれ以上とよばれる卓球のスピード性において、人間はその半分のスピード、比較的実現可能な速度ですら予測を使わないことには対応できないというのはなかなかに驚くべきことななのではないのでしょうか。

 こう考えると、卓球で求められる一つの、そしてある意味では最も重要な要素として「速さ」が挙げられます。つまり、相手コートにできるだけ速く球を送り込めば、対応されづらくなるということです。対応というのは、相手が球を返せるか否かといったもののほかに、相手が返す球の種類を限定させられる、選択させる時間を奪うといった側面もあります。
 ただ、相手に速く球を送り込んだとしても、それが返球されてしまえば、今度は自分が対応できなくなってしまいます。相手に速い球を送るには自分もある程度球を相手に送った後の想定をしていないともろ刃の剣になってしまうのです
 自分がいろんなシチュエーションを想定できる時間があり且つ、速い球を相手に送り込める展開。それは卓球においてはひとつしかありません。「サービス」時です。速いサービスを打てといわれたらみなさん打つサーブは一つでしょう。つまり、ロングサーブこそ今回のテーマの一つの回答となります。
 
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