学者として論文を執筆することは必然のことなのですが、自分が書いた論文が引用文献として用いられるということは光栄なことの一つかと思います。私も学生時代の実習の一環としてひとつ論文を作成し(実習の一環なので皆さん書いているはずです、私はただのフランです)、ある地方会で発表されたこともありますが、引用などというのは雲の上の話です。
   自己満足のように細々と執筆を続けていたフランの卓ログ。自分なりには理論的に考察を努めようと心がけており、多くの方が本質的にはできていない「卓球を考える」ことの重要性を伝えられたらと思っています。
   そんな中先日友人からこのような記事を見せられました。


   おお!私の記事を引用していただいている!!
   しろのたつみ氏といえば、卓球ブロガーの中でも非常に多面的でかつ面白い視点で卓球のあれこれを書かれている方。そんな方に引用されるとは思ってもみなかったので素直に嬉しかったです。

   以前私が書いた手首支点のバックハンドドライブ。その意図としては、しろの氏の記事の中にあるたくしょー氏の意見に通ずるものがあります。つまり、打球を行う最も先端の関節は手首(指)であるということ。この関節が前にでなければ、その他関節もそれに随伴して前方向の動作制限がかかるようになり、それは私のブログで何度も取り上げている相対的3hit理論に帰着します。つまり、手首支点のバックハンドドライブは私が簡便に伝えられる相対的3hit理論に基づくバックハンドの表現型の一つということです。たくしょー氏の述べている外旋運動を用いたバックハンドというのも本質的には横向きのスイングにもっていく相対的3hit理論の表現型の一つとなります。
   手首のみを用いたバックハンドは手首動作に関与する筋群の筋力が肘・肩関節動作に起因する筋群よりも劣っているため、威力はどうしても出づらくなるのもしろの氏がご指摘されている通りです。手首支点の、つまり相対的3hit理論によるバックハンドが習得できたのならば、次段階として肩関節の動作も用いて威力を出していくことも可能かと思います。肘支点のバックハンドを安定させるには絶対的3hit理論を意識する必要があり、その微調整というのは個人的にはなかなか難しいものもあるという考えもあります。

   台湾の荘智淵選手は、先日肘支点のバックハンドの動画が卓球レポートより挙がっていました。この動画をみると・・・なるほど、確かに肘支点だ。
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   ただし、これを単に間に受けてはいけない。なぜなら実践になると荘智淵選手は肘支点以外のバックハンドを用いるからだ。

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   この動画の1セット目から見ればわかります、荘智淵選手が肘支点以外のバックハンドを使っていることに。
   使い分けを考察すると前陣でのバックvsバックラリーを仕掛ける時は肘支点のバックバンドを多用しており、中陣に下がった場合の主体 or 下回転に対するバックハンドドライブの主体は肩関節支点のバックハンドを行なっていることがわかります。咄嗟にブロックする時に肩甲上腕関節外転運動を行なっていることから、バックブロック時も関節運動の主体は肩関節であることも推察できます。
   この使い分けの意図の一つとして、

・球に威力を求めたい時は大関節である肩関節主体
・予測でき得る範囲内でのピッチ打法を用いる時は肘関節主体
・咄嗟の場面で過度な前ベクトルを抑えたい時には肩関節主体

というのを提唱いたします。トッププロになると、威力が出しづらい手首主体のバックハンドというのは、特に男子の場合あまり用いられないのかもしれませんね。
   最も本人に伺わない限り真相は闇の中なのですが。全然見当違いだとそれはそれで恥ずかしいですね笑