徐々に考察も終盤に向かってきております、肩甲骨打法。途中サボっていなければもっと早く考察し終わっていたことになっていたかもしれませんね。
   さて、前回肩甲骨打法の本質として肩甲上腕関節自体のボールの進行ベクトルに対して水平方向の運動を行うこと​と提唱しました。今回はこの内容について考察していきたいと思います。

   そもそも上記の定義は今までの肩甲上腕関節の動きと異なる表現ということはお気付きですよね。
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   今まで何回も参照しているように肩甲上腕関節、ここでは意味合いは同じなので肩関節の動かし方は上の通りになります。しかし、この動かし方は肩甲上腕関節を中心に行われる動き方です。つまり、上の動かし方は肩甲上腕関節を固定されていることを条件に記されているものということになります。
   
   それに対して肩甲骨打法の定義として肩甲上腕関節自体が移動することをその本質としています。肩甲骨、つまり肩甲胸郭関節が内転するということはつまり肩甲上腕関節自体が後方に移動するということになりますし、肩甲胸郭関節が外転するということは肩甲上腕関節自体が前方に移動するということに他なりません。つまり肩甲骨内転→外転という動きは肩甲上腕関節自体の後ろ→前方向の動きということになります。
   後→前方向の動きということは、つまり前ベクトルの力を加える動きということに他ならないことであり、当然打球に強い前方向を加えることが可能になります。つまり、肩甲骨打法とは単一(正確には複合関節なので肩関節群)の肩関節の従来の動きに加えて、更に前ベクトルを加えることが可能になる打法ということになります。
    
   さて、実際に動かしてみると分かりますが、肩甲上腕関節自体の動きは肩甲上腕関節の動きに付随して発生するものが主です。つまり、上記の動かし方に伴って結果として肩甲上腕関節自体の移動が発生します。これは一定以上の肩関節の動作を行うことで必ず発生する移動です。これはどういうことなのか。
    
   結局のところ、卓球選手は皆肩甲上腕関節自体を適宜動かしながら卓球をしており、つまり本質的には卓球選手は皆肩甲骨打法を行なっているのではないかと考えています。肩甲上腕関節を動かさないと肩は可動しませんし、それに付随して肩甲上腕関節自体が動くのであれば、皆肩甲上腕関節自体の動きは満たしていることになります。センスのある人は教えられなくても肩甲骨打法を行なっているという話はこのことからもわかるかと思います。肩甲骨打法を身につけているのではなく、肩甲骨打法、つまり肩甲上腕関節の使い方が上手いという表現の方が適切でしょうか。
   
   肩甲骨打法のメリットとして単一の関節部位で前方向に加えるベクトルを意識的に加えることができる点であり、つまり従来の指導法で言われていた腰を回して打つであったり、足を使って体重移動を用いて打つであったりといった、体全体を用いた大きい動作を行わなくても球に前ベクトルを加える、つまり威力を出すことができるようになります。その反面、大きい動作に加えて肩甲骨打法を用いると、過度な前ベクトルを加えてしまい、つまり私たちが提唱している3hit理論を満たさなくなってしまうことになります。肩甲骨打法は威力は出るけど安定しないという意見はこのことからも起因していると思います(私は何人かから聞いたことあるのですが、こういう意見は少数派なのでしょうか)。先述したセンスのある人というのは体全体の使い方と肩甲骨打法の使い方のバランスがよいといったところでしょうか。その使い方が上手い人の肩甲骨打法が一般的な肩甲骨打法なのかもしれません。
      つまり、肩甲骨打法も効率よく打球するための「表現型」の一つであり、肩甲骨打法を行うことが効率よく打球するための全てではないということです。まあ当たり前のことですね。


   少し長くなってしまったのでここで一区切り。今回の記事のtake home massage は
肩甲骨打法の本質は肩甲上腕関節自体のボールの進行ベクトルに対して水平方向の運動を行うこと
肩甲骨打法とは肩関節の従来の動きに加えて、更に前ベクトルを加えることが可能になる打
皆最低限の肩甲骨打法は行われており、その使い方が上手い人の打法が肩甲骨打法と言われる