以前考察記事をあげましたが、考察を続けていくうちに内容が大きく変わっていったので再度別記事として投稿いたします。
   
   巷でよく言われる「肩甲骨打法」。しかし、その本質は一体どこから来ているのか?今回はそんなことを考察していきます。
   まず、私のブログで行うこととして、各々の定義からつけていきます。

①肩甲骨とは?
Wikipediaの引用で十分でしょう。
肩甲骨(けんこうこつ、英名: shoulder blade、羅名: scapula、pl. scapulae、肩胛骨とも)は、四肢動物の肩帯を構成する骨の一つである。
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要は背中側にある「羽」みたいな骨のことです。

②そもそも関節とは?
   関節とは骨と骨がつながっている場所のことを指します。しかしもちろんご存知だと思いますが、関節の周囲には筋肉や腱や周囲組織などが存在しており、それによって関節として可動する事が可能となります。

③肩関節とは?
   肩関節といっても厳密には狭義と広義に分類されます。
【狭義の肩関節】 肩甲上腕関節のこと。肩甲骨と上腕骨の関節です。下の画像の丸を付けている部分です。
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【広義の肩関節】 肩甲上腕関節に加えて、②第二肩関節、③肩鎖関節: 肩峰関節面と鎖骨肩峰端にある関節面との間の平面関節、④胸鎖関節: 胸骨と鎖骨との間の関節(形態学的には鞍関節、機能的(運動学的)には球関節)、⑤肩甲胸郭関節: 肩甲骨と胸郭との間の関節の5つを指します。「肩」というのは上腕骨、肩甲骨、鎖骨、胸骨、肋骨で構成されている部位の名称です。
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      図があると理解が深まると思います。このうち可動域が大きいものとして⑴肩甲上腕関節、⑵肩甲胸郭関節 の二つが挙げられます。残りの三つはその可動性が小さいこと、補助的な役割が大きいことから考慮されないことが多いです。
   
   話が飛躍しますが、今から述べたいことの一番わかりやすい例として、肩関節の屈曲運動をあげます。実際に手を上に伸ばしてください。その時、肩甲骨も同時に動くことがわかるかと思います。逆に肩甲骨を動かさずに腕を上げ切ることは不可能だと思います。
   生物学的に、肩甲骨の基本的な役割として、上肢にかかる重量を支えるために必要であるとされています。(Kinematics of the Clavicle and Scapula   W.Sahara K Sugamoto Jpn J Rehabil Med 2016;53:750-753 参照)
   つまり、肩関節のメインは肩甲上腕関節であり、その可動域に程度の差はあれど、関節は肩関節運動に対しては補助的な役割としてみることができるということです。バルサミコ氏も同様のことを述べていましたが、今までの肩甲骨打法とは肩甲胸郭関節のみに焦点を当てており、そのせいかいまいちはっきりしない理論になっていたかと思います。

   ここまで読んでいただいて、疑問に思った方もいるかもしれません。肩甲胸郭関節は厳密には関節ではないということです。上の図をみていただければわかるかと思います。肩甲骨と肋骨がくっついていたら肩甲骨が動くことは叶わなくなってしまいます。肩甲骨というのは、骨の中では少し異質のものであり、現在も積極的に研究が行われています。最近目にしたもので面白いなと思ったのはこういうのとかですかね。興味ある方は是非。
 
 Fitting unanchored puzzle pieces in the skeleton: appropriate 3D scapular positions for the quadrupedal support in tetrapods. S Fujiwara J ant.2018 May;232(5):857-869

   そういう点では、肩関節を用いた運動の中心は肩甲上腕関節であり、肩関節運動をしっかりと理解、実践した上で肩甲骨打法のスタート地点にたつことができると考えます。つまり、肩関節の運動と連動することを意識することで初めて、肩甲骨打法というのは実用性のある技術になるということです。

   しかし、基本原理としては上記の通りなのですが、一概にそうとはいえないのが人体の奥深いところです。情報量がさすがに多いと思うので、次回に続きます。